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潤滑油のイロハ 高分子系潤滑材について(ポリマー)

日産がトロコイドCVTの開発において、潤滑の研究に力を入れていたのを思い出します。トロコイドCVTは、2つの円盤同士を接触させることにより、動力の伝達と変速をさせる機構ですが、点接触である為、焼付が最大の問題となっていました。よって採用されたのがポリマー潤滑剤です。 特徴 最大の特徴は、一つの小さい分子が、幾重にも連なり、大きい分子構造を持つ化合物です。 分子構造が大きい為、比較的低粘度のOILでも、金属間の油膜を厚く保持でき油膜切れを防ぐ効果があります。よって従来より高い潤滑性能が得られます。 また枝のように伸びた分子の構造が、金属表面の凸凹にかみ合うことにより、金属表面と油膜がファスナーのように強力に密着し油膜切れを防ぎます。 分子の大きさ、連鎖の数を制御することにより、いろいろな特性の潤滑油を製造することが可能となり、その使用する用途によって、粘度や油膜の厚さなど様々です。添加剤として使用する場合は、粘度指数向上剤として使用することが出来ます。 チムケン試験機による焼付き試験を行うと、一般の鉱物油に対して、3倍近い潤滑性能になります。 短所 連鎖した分子の大きさが大きい為、狭い隙間に入りにくい特性と分子の連鎖が破壊する現象があります。 たとえば、穴ダイスにて伸線加工をする場合、ダイスと線材とのスキマが非常に小さくなり、高圧状態で摩擦されます。その大きさから小さい隙間に入りにくいのと、高圧により分子構造が破壊され粘度が下がり、金属同士が接触することで、焼きつきの原因になることがあります。 まとめ これらの特性から考えると、塑性加工用の潤滑には向いていないと思われます。工作機械の軸受やボールベアリング、LMガイド、クランクシャフト、ピストンなどの潤滑油として使用した場合、磨耗が低下し寿命がかなり長くなると予想できます。 つまり、低過重、高速運動や面接触での使用が望ましいと考える。歯車や塑性加工には適していないのである。しかしこれは性能が100%発揮できないということで、今までの経験から通常の鉱物油に比べると、潤滑性能は高い
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