ブランディングと補助金
今回は「ブランディングと補助金」をテーマに考えていきます。
海外展開はなんといっても予算が必要です。
そして計画を開始してから、利益がでるまでにけっこう時間がかかるので、最初のうちは経費のすべてが持ち出しになってしまうからです。
だから「海外ビジネス戦略」などの補助金制度を積極的に利用することは、弊社のように小さい会社ではとても大切なのです。
例えば、海外展示会に出展すると、小規模なブース出展でも旅費込で200万円位かかりますが、経費の2/3を助成してもらえれば、実質70万円程度の経費しかかかりません、活用しない手はないですね。
ブランディングと補助金の関係って?
ブランディングしていないと、補助金申請しても採択されにくいという一言に尽きます。
それはものづくり補助金が「革新的な技術」の補助金なのと同じで、海外ビジネス戦略などの補助金も「革新的な販売戦略」がないと採択されないからです。
助成金の申請書類に計画の革新的な部分を明確にしないと100%落とされてしまいます。
そして、採択メンバーは1日で何件もの申請を処理するのでじっくり見ません※たぶん(笑)だから短い文章で確実に革新的な内容を理解させる※革新的だと思い込ませる(笑)ことが必要です。だからブランディングが重要なのです。
以前このコラムで書きましたが、ブランド化することで製品の強みやメリットが相手に伝わりやすい効果があります。だから短期間で多くの申請を判断する採
補助金と助成金の違いは?
助成金は資格要件を満たせば、だいたいもらえます。
資格要件で代表的なのは経営革新計画ですね、展示会などは2/3の助成金がもらえます。
すでに経営革新計画で革新的な計画を打ち出しているので、書類選考が省略されるということです。とはいってももちろん申請書類はありますよ。
あと予算枠があって早い者勝ちです。EVの自動車などを購入するともらえるのも助成金だから予算内で早い者勝ちでしたね。
補助金の場合、すべての申請にたいして受けられるとは限りません。
ものづくり補助金など1000万円を超えるものは、1/4程度の採択率です。
事業計画書ですべてが決まります。どのような事業に使うのか、それの市場性や革新性、優位など書類でアピールし、勝ち取る必要があります。
助成金も補助金もどちらにしても、革新的な計画があってなんぼです。
事業計画書の作り方のスキルを身に付けると、いろんなところで役に立ちます。「ミラサポ」などのサイトで過去に採択された事業計画がみれるのでどんな計画が採択されているか参考にするのも良いですね。
助成金や補助金の公示について
下記のサイトからどんな種類の補助金があるか調べると良いかと思います。
ミラサポ(中小企業庁)
各都道府県の産業振興センター
各都道府県の中小企業連合中央会
独立行政法人中小企業基盤整備機構
まずは経営革新計画を認定してもらうことが必要です。ほとんどの公募の資格に経営革新認定企業というのがあるからです。
産業振興センターに経営革新取りたいからサポートよろしく〜って電話するのがよいかと(笑)
ちなみに、公募の多くが4月初旬に公示で、書類提出期間が4月末〜5月末と公示から提出までの期間が短いので、早めに準備することをオススメします。
裏ワザで産業振興センターに「中期経営計画を作りたい」と相談し専門家を無料で派遣してもらい非公式ですが書類を作ってもらうことも...
さいごに
補助金の申請書類を作っていると、自分の頭の中で計画が再度整理されるとともに、もう後に引けない!という決心がつくような気になります。
新しく事業を始めるときって、もちろん成功を信じて始めるのですが、補助金申請が採択されることで、投資に対する安心感が得られるのは間違いないです。
だから申請書類作成のスキルは身に着けて損はないと思います。
これから海外展開を考えているなら、補助金を利用してみてはどうでしょうか?
前回のコラムで書きましたが、ブランディングしていると、製品や計画の内容がわかりやすく伝わるので、審査段階で採択に有利ということを書きましたね、今回はもう少し具体的に補助金申請の傾向と対策を考えていきましょう。
ちなみに補助金申請の書式は、ものによって違いますが、記入する内容はどれもだいたい似たようなものなので、1回資料を作ってしまえば複数の事業申請に対応できます。そしてテンプレにすることで次年度からの申請が楽になります。
行政からアドバイスは基本的にはもらえません。
各種補助金事業の募集についてのアドバイスって、産業支援機構や産業振興センターなどに聞きに行っても補助金事業の内容などは教えてくれますが、申請書類の内容に関するアドバイスは基本的にしてくれません。1社だけにアドバイスしてしまうと、公平性に問題が発生するからです。
むこうから教えてくれないので、こっちから聞くしかありません、しかし聞いても教えてくれないのですが、なんとなく的なニュアンスで「あーこういうことか!」って理解できることも多いので、そんな不確かな情報でも採択されるためには大きな情報になりますい。だから足を運んで担当者と面会すると良いことがあるかもしれません。
書類の審査はポイント制です
申請書類が採択されるためには、最低限記載する必要のある事項があります。
申請内容の審査は客観的にポイントで採点するとのこと、だからポイントの対象になる事項について内容が記載されていないと0ポイントになります。
下記チェックリストにありますが、「新成長分野への関連性」はポイントになるので、たとえ製品がエネルギー分野に関連がなくとも、こんな感じで1文入れてみてはどうでしょうか、
「本製品は主に自動車関連分野に使用されるが、エネルギー分野への関心が高まってきており、将来的に省エネ器機等への応用が期待される」
チェックリスト
ポイントの対象になるであろう最低限記載するべき項目を、自分なりにチェックリストにしました、もちろんこれがすべてではありませんが、あくまでも最低限ということで、申請内容に漏れがないか確認してみてはいかがでしょうか?
1.事業の成功の可能性の根拠が明確である。
2.事業のミッションが明確である
3.事業の革新性や強みが明確である。
4.事業のターゲット及びマーケット規模が明確である
5.エネルギー、環境、医療など、新成長分野との関連性
6.他の中小企業の支援モデル事例になりえるか
7.取引先や仕入先など他企業への連鎖、波及する可能性はあるか
8.事業の推進体制と人的資源が記載されている。
9.事業を推進するための資金調達方法が明確である。
10.財務基盤が健全である
11.従業員の賃上げの取り組みをしている。(賃金の1%以上)
12.従業員の人材育成をしている。(賃金の1%以上)
100万円程度の補助金なんて書類の手間ばかりで必要ないよ!
なんてことを言われる方も結構多いですね、それももちろん正解だと思いますが、でも補助金をもらう本当の目的って、じつは別のところにあったりします。
行政は税収を増やすため、企業の利益の為の手伝いがしたいのです。しかし数多くある会社を1社1社判断するのは難しく、一見さんならなおさらです。
だから経営革新計画や補助金交付を受けた会社は、しっかりとした経営計画のある会社だと判断される傾向があります。それは行政だけでなく銀行にも影響があります。
そして新規の事業を開始するときに実績があるのと無いのとでは大きな差になります。
だから少額なものでもいいので、補助金申請して実績を積むことを強くオススメします。
海外展開や新規事業を考えているなら、補助金精度を利用してみてはどうでしょうか?
チェックリストの中身を考えていきましょう!
前回のコラムで、選考はポイント制なので、ポイントの対象となる次項はもらさずに記載することと、そのポイントの対象になる事項のチェックリストを書きましたが、今回はチェックリストの中身を考えていきましょう!
1.事業の成功の可能性の根拠が明確である。
基本的に成功の可能性のないものが採択される訳ありません。だから気合を入れて考えましょう!
「明確に」ということなので、夢物語ではキビシイかな、だから具体的に見えるように販売予定先や売上金額予測などを、数字や固有名詞で具体的に記載すると高ポイントです。
とくに作文にならないように注意してください、基本は箇条書きです。50-70文字程度の説明分を段落にして、400〜600文字程度に収まるようにしてください。文字数が多すぎても逆効果です。
(例)
×省エネ分野などへの採用が期待できる。
○パナソニック、東芝産業機器などの省エネ機器メーカーなどからの関心が高く、採用が見込まれる。
※エビデンスは必要ないので、メーカー名など盛っちゃいましょう!あくまでも「見込まれる」なので「嘘」ではありません(笑)
自分の最初のころの申請書類を改めて見直すと作文でした...
申請書類の内容が作文になってしまうケースが結構多いのです。思いが先行してあれもこれもと書いてしまうのです。でも内容満載な事業計画はNGです。「担当者にいろいろ考えているのですねー」って言われますよ、それは褒め言葉ではありません。「で、何がやりたいのかわからない...」って意味かな(笑)
2.事業のミッションが明確である
事業のミッションを明確にするとは、補助金を活用して計画的に事業を進めるという証明になり、明確にすることでお役人さんに好まれます(笑)
また後に報告書を提出するときもミッションごとに報告すればいいので簡単に報告書が作成できます。
たとえば医療機器を北欧に販路開拓したいなら
1、医療機器の商社あるいはメーカーのOBなど専門家派遣の依頼
2、北欧の医療機器メーカー及び商社の調査
3、北欧の医療機器分野のマーケティング(JETRO、Google、Alibabaなど)
4、マーケティングの分析及び対象国の選択
5、ここからが本当にやりたいこと、サイトを作るとか、海外展示会、代理店開拓とかいろいろ
6、さりげなくPDCAを盛り込み事業の妥当性の確認と今後の改善案の作成
7、事業報告書の作成及び報告
8、継続的顧客フォロー
9、事業の開始から完了までの事業計画の工程表って結構適当に考えてしまいがちですが合理的で説得力がある工程を作ると良い。
こんな感じでミッションを時系列で箇条書きに整理して明確にすると審査員が理解しやすくなりますね。内容は少し盛ってくださいね(笑)
3.事業の革新性や強みが明確である。
ブランディングができていることが前提なので、この項目は問題無いですね
従来品との比較や、優位性など図表を使って、わかりやすく数字で示すのが良いと思います。
4.事業のターゲット及びマーケット規模が明確である
たとえ市場調査の補助金でもマーケットの記載は必須です。
とはいってもリサーチ会社ではないので実際に現地調査してマーケット規模は調べるのは不可能なので、インターネットなので調べられる範囲でいいと思います。Googleを利用して国別のキーワード検索数で国やエリアの需要予想とするのが簡単です。
1.ターゲットの国の同業者の数と上位5社くらいの社名と売上規模や従業員数)
2.ターゲットの国の顧客候補になる会社の社名と業種など
3.Googleのキーワード検索数からの国内と対象国の比較
4.直球でJRTROに対象国のマーケットを聞いちゃう!
5.エネルギー、環境、医療など、新成長分野に貢献できる内容だとポイント高!
新成長分野との関連性はポイントの対象なので、無理やりでもいいので入れておくと良いでしょう。エビデンスはいらないので、とりあえず、チェックリスト「5」の項目にこんなかんじでもいいので一文入れておきましょう。
「弊社の製品は発電用変圧器やジュネレーターに使用され、効率が従来品より向上するため、とくに環境分野、省エネ製品むけに販路開拓を強化する。」
6.他の中小企業の支援モデル事例になりえるか
ライバルを増やしたくないので、支援モデルにしてほしくないのだけどね(笑)
同業他社に先駆けた業界で初めての取り組みのため、成功すれば業界の新しいビジネスモデルとして...こんな感じでさらっと流すのがいいかも。
7.取引先や仕入先など他企業への連鎖、波及する可能性はあるか
得意先や仕入先、外注先を含めた体系図を作図することで、本事業への相間がひと目で理解できるようにします。自社のみでなく関連する業界全体で利益が向上することを行政は喜びます。
8.事業の推進体制と人的資源が記載されている。
お役人は個人プレーを嫌います(笑)組織で事業を推進していることを明確にする必要があります。ISO9001のマネジメントシステム体系図やプロセス体系図と同じかんじでOKです。担当の権限や責任者、会議の開催など、文字だけではなく、図表(フローチャート)にしてわかりやすく説明してください。
11.従業員の賃上げの取り組みをしている。
12.従業員の人材育成をしている。
どちらも賃金全体の1%以上が基本です。
基本給ベースだと前年より賃金を増やしていても、前年より残業が少なかった場合、決算書では給与の総額が前年度より下がってしまう場合があるので、基本給ベースの台帳を作ってもOK
さいごに
考えていることを文章で他人に正確に伝えることってとても難しいと思います。
あるものを説明しようと1000文字の説明文を書いても、写真なら1枚で伝わるかも、動画ならさらに細かいニュアンスまで理解してもらえるよね
物事の伝え方って「奥が深いなー」って考えています。
短い文章で「正確に理解させる」ということは、とても大切でありまた難しいと思います。結局スキルを身につけるには実際にやってみるしかないということかもしれませんね。自分自身もまだまだ毎回試行錯誤している状態です。次回、また次回とスキルアップできればと考えています。
今回も補助金申請について書かせていただきました。
次回で補助金関連は最終回です。補助金で4回も書くとは考えていませんでした。
次回も引き続き具体的な申請の方法やコツを書く予定です。
日本の中小製造業の海外販路開拓に少しでもお役に立てればと思いブログを書かせていただきました。何かの参考になれば幸いです。
次回もまたよろしくお願いい
今回も「ブランディングと補助金」をテーマに考えていきます。
前回のコラムで書きましたが、ブランディングしていると、製品や計画の内容がわかりやすく伝わるので、審査段階で採択に有利ということを書くましたね、今回はもう少し具体的に補助金申請の傾向と対策を考えていきましょう。
前回のコラムで選考のポイント対象になる事項を、チェックリストにして、個別に解説していきましたね、今回は具体的な申請書類の書き方について考えていきましょう!
1.計画の名称
まず計画の名称を考えないといけません。これが結構悩むのです、よく言われるのは、少ない文字数で申請の内容がしっかり網羅され、なおかつインパクトがあるほうが良いと...
なんだかややこしいのでとりあえず、テンプレにしてみました。
○○○の△△△による□□□事業って形が基本に忠実たと思います。
自分が申請したときは下記みたいな感じにしてみました、少し文字数が多いけどね(笑)
新ブランド「R&D Materials」のインターネットによるマーケティング及び販路開拓事業
選考委員に「ああ、インターネットで販路開拓したいわけね、ポイントはブランド戦略の中身かな―」くらいの感じで、この申請書のポイントになるところを匂わせておけばOKです。
2.計画の概要
つぎに計画の概要を記載します。計画の概要には革新性あるいは他社との差別化、競争力をしっかりと明記する必要があります。だからといって説明に気合が入りすぎて長いのは良くないので200文字以内が理想とのことです。
「海外に販路を開拓したいからホームページを作りたい!」と直球勝負ではもちろんダメ(笑)
とはいっても結局は補助金でホームページを作りたいだけなのだけどね、すこしひねって概要を考える必要があります。
ちなみに差別化を前面にだして、こんな感じに書いてみました、これで160文字です。
ちなみにホームページを作りたい!とはここでは書かないのがポイント!
一般的に金属材料は名称がステンレスやアルミニウムなど総称で呼ばれているため差別化が難しい、そこで弊社はH25年度経営革新計画の承認を受け新ブランド「R&D Materials」を事業化し、他社に先駆けてブランド化による差別化と販路開拓を展開している。
本事業計画ではR&D Materialsブランドを国内外に発信するとともに販路開拓のためのマーケティング及び販売促進を目的としている。
「計画の名称」でブランド戦略を匂わせているので、補足的な感じにするのが良いかと思います。
3.事業の具体的な内容と取り組み内容について
メインになる部分ですね、まえにもこのコラムで書きましたが、1000文字の説明より、写真を1枚添付したほうが理解してもらえるのです。だから写真と図表を使って、パワーポイントのプレゼン資料のように図表+補足説明みたいに組み立てていきます。何度も言いますが長い文章はご法度です。
そしてストーリーにPDCAが回っていることが重要です。
Plan(計画)・Do(実行)・Check(点検・評価)・Act(改善・処置)
事業の課題や問題点を起案します。「同業他社からの価格競争からの脱却」こんなのでもいいと思います。
「同業他社からの価格競争から抜けだしたい!」という課題を解決するためのプランを決めます。ブランド化、高付加価値、販路開拓、用途開発など同業者がまだやっていないことを証明する資料とともにプランニングしていきます。
そしてそのプランを実行するための行動を工程ごとに図表をたくさん使って説明します。具体的な達成手段を記載してください。
そして起案した問題が解決することで本事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザー、マーケット及び市場規模等について、その成果の価格的・性能的な優位性・収益性や現在の市場規模も踏まえて記載します。
ゴールを明確にしないと計画とはいえないからね。
まとめ
弊社も今年度の「ものづくり補助金」が、ほぼ上限の960万円で採択されました。
このブログで偉そうに補助金を語っていながら、もし落ちてたら... なんて考えていたのでホッとしました。
頭の中で考えていることを文章にするのって簡単そうですが、実際にやってみると思った通りに書けなくて、いつももどかしい思いをします。
頭の中ではとめどなく考える事ができますが、文字に起こすと頭の中で考えている文字数の1/30以下で表現しないといけないからだと考えます。
だから文章化する過程で、無駄な部分はどんどん省かれていき、無駄のない切れ味のある文章になっていきます。そして考えが整理されていくので、新しい気づきや発見、矛盾点が明確になっていく気がします。
文章力がもっとあればって、いつも思います、会社のサイトやカタログ、展示会のポスター、経営計画などを考えるときに、思っていることを的確に文字にできないもどかしさにイライラします。
だから自分自身もこのブログを書きながら文章で表現する練習をしている部分も大きいですね、1円にもならないからね(笑)
酒を飲んで思いを熱く語る経営者をよくみますが、語るだけなら誰でもできます、熱い思いを前に進めるために文章にしてみましょうよ!