ブランディングと代理店
今回は「頼りになる相棒!代理店の開発」というテーマを考えていきます。
ブランド戦略っていうと最終製品を製造しているメーカーにしか必要ないと思うかもしれません。しかし視点を変えることで、中間製品や製造技術などもブランド化することが可能です。そしてブランド化することでスムーズに海外展開できるようになります。とても重要なことなので、どうぞお付き合いください。
1件1件まじめに対応していたら大変です!
最初のころは海外展開の戦略なんてあるわけもなく、どうやったら「物」が売れるか?しか頭に無く、それこそ代理店の開発なんてハードルが高いというか、考えてもいませんでした。
1年くらい真面目に取り組んでいると、それなりに引き合いが来るようになってきて、最初は海外から引き合いが来るだけでとても嬉しかったのに、だんだん増えてくると対応がすこし面倒くさくなってきました。
弊社のR&D Materialsは、1回の取引が2−3万円程度の商売なので、メールの対応からINVOICEなど輸出関連書類などの手間が国内より多い為ですね。
それゆえ面倒くさくなるという結果に...最初の情熱は何処へ!
代理店は頼りになります
前にもかきましたが、思いもよらず、ドイツのANKURO社が代理店になって、本当に代理店って、ありがたいなーって思いました。
取引の件数が増えてくると、さすがにきめ細かい対応が難しくなります。だけど代理店ができると、自分の代わりに対応してくれるので本当に頼りになります。
また代理店は現地の情報をよく知っているため、Products listの中から「この製品は現地にもあるから売れないよ」とかアドバイスをもらえるので現地のニーズに合わせることができます。
さらにお客さんは代理店と国内取引になるため、従来は見積りに折り合いがついたけど、お互いの信用の問題で取引が成立にならなかったケースが減少しました。
そしてクレーム処理に関しては、涙がでるほどありがたい(笑)
だからこそ代理店の開発はとても大切になってきます。
代理店ってどうやって作るの?
あくまでも自分の場合ですが、難しく考えないで展示会でポスターに代理店募集と大きく掲載しちゃうのが一番簡単だと思います。
技術系の展示会なのに「商社」の名札をつけてる人って結構多く、彼らは取り扱うネタ探しをしているので「代理店募集」は結構反響あります。
とくにアジアの場合、日本の製品を取り扱いたいと考えている商社は多くて、日本の会社の代理店ってだけでちょっとはくがつくみたいですね!
売る側もしっかり準備する必要があります。
弊社の場合、最初の代理店がドイツの会社だったから、カタログや資料、価格表などいろいろなことを遠慮なく要求されました。今思えばそれって、当然準備しなくてはいけない事だったんだけど、当時はノープランだったからね(笑)
なかでも一番大変だったのが、Products & Price list 製品リストと価格表です。
R&D Materialsの方は、ある程度価格が決まっていたので問題ありませんでしたが、圧延の受託加工は国内の引き合いでも、その都度見積もっていたため価格表なんてありませんでした。
代理店だって引き合いのたびに弊社に見積依頼していては、おたがいに面倒くさいので、ある程度は代理店側で見積の計算ができるように教える必要があると考えました。
いくつも加工のモデルケースを用意して、加工工程や、工程ごとにかかる時間などを理解してもらったり、加工時間をざっくりと計算できるツールをエクセルのマクロで作ったりしました。※これはうちの営業も使っています。
こんな感じで本当に一生懸命な代理店には、ある程度裁量でお任せしている部分もあります。
一番重要なことは代理店に儲かってもらうこと!それが最重要ですね(笑)
さいごに
今回は「頼りになる相棒!代理店の開発」というテーマで考えてみました。
海外のお客さんに直接販売することは、製品の魅力をお客さんに伝えるためのブランディングやプロモーションのスキルアップのために絶対必要です。
同時に代理店を開拓して代理店が活動しやすくなるように後方支援することも重要だと思います。
海外展開にフェーズがあるとすれば、こんな感じだと思います。
フェーズ1では、顧客に直売してブランディングやスキルを磨く
フェーズ2では、代理店の開発を進める。
フェーズ3では、現地に営業所を設置!
いきなりフェーズ2に行けるかというと、残念ながらフェーズ1の段階のブランディングやプロモーションが、しっかりできていないと難しいと思います。
顧客に製品の魅力をしっかり理解してもらえるブランディングができるから、代理店にも製品の魅力が理解されると考えてください。
顧客に直売できる=顧客が魅力を理解できる=代理店が魅力を理解できる
ベクトルは一緒なのですよ!
製品の魅力をしっかり表現できないと、代理店に浮気されてしまうかもしれませんよ(笑)
御社が海外の良い相棒と巡り会えるといいですね!
海外展示会における代理店開発について
海外の展示会って、技術系のテーマだとしても、訪れる来場者の9割は商社です。だから技術の詳しい中身にはあまり興味がなく、それが売れるのか? いくら儲かるか?
なんて話が多く、なかなか泥臭い感じです。
高度な技術の討論が出来るお客さんの少ないことといったら...
たまに技術レベルの高い人が来たと思ったら、ただ勉強のための来場で、実はライバルだった!なんてこともよくあります。
だから「技術を売り込むぞ!」と考えて展示しても、出展社と来場者の温度差があって、なかなか咬み合わないケースも多いと重います。
台湾、韓国、中国、マレーシアなどアジアは商魂がたくましいというか、代理店募集によく反応します。
そして、かならず下記の3点セットを要求されます。
1.パッケージング
2.価格表
3.販促グッズ
基本的に彼らは売りやすいものしか扱わないのです。売れればラッキーで、売れなければ次の商材をさがす。
私も最初は勘違いしていて、うちの製品を取り扱ってくれることがとても嬉しかったのですが、所詮商社の数多くのアイテムの一つとして扱ってもらうだけで、信頼できる代理店ではありません。
それにそれだけの関係じゃ寂しいよね。
でも商社のための製品が必要です。
製造業は価格表を作ることがとても難しいと思います。
弊社もそうですが、案件ごとに素材や加工計算を計算して見積を作ります。だから価格表はあるか?と言われたとき正直に「価格表はない」というと話が終わってしまいました。
あたりまえだよね、もし自分が商社だったら引き合いの都度、メーカーに見積依頼をするのは面倒くさいと思いますね。価格表見てさっさと返信したほうが早いし手間がかからないですね。
それでは取り繕う暇もないので、戦略的に考える必要がありますね。
最終的には技術を売りたいのですが、商社を味方につけるために技術を紹介するような商社向けの製品開発を考えていきましょう!
なにはともあれ商社が売りやすい「製品」を考える必要があるのですが、これがなかなか難しいのです。
そもそも自社で製品開発なんて、時間もお金もかかるので正直難しいのです。
だから私はある方法を取りました。
最初はOEMでもいいじゃない?
恥ずかしいですが、自社の材料の販売先が製造する製品を購入して、OEMで自社ブランドとして販売していました。
そしてブランディングや海外取引のスキルを、OEM製品を使って開拓することで、一番力を入れるところを横着しました。おかげで製品開発に時間を取られること無く海外展開に100%の力を注入することができたのです。
他社の製品の製品力でお客さんと接触して、小さい取引をしながら自社技術の販売につなげるスタイルをしばらく続けていました。
そしていまでもOEMで扱っている製品は半分近くあります。
すこしセコいよね(笑)
でも最初から自社製品だけでは製品数が少なすぎて、アピール力が足りないし、簡単に製品化出来るような製品はそもそも売れない(笑)
ポイントは、自社の技術に関連性のある「製品」をOEMしてPRします。
そしてその製品の注文が来た場合、弊社の材料が必要になるため、間接的に自社の材料が売れるという図式を描いています。
製品の関連から自社に発注が来るような仕組みにすることが重要です。
さいごに
よく海外進出の相談を受けますが、「うちには製品がないからむずかしいな」ということを言われます。でも御社の加工した部品は最終的に製品になるのでしょ?それをOEMで取り扱うことできないの?なんて話をすることがあります。
製品がないからなんて、ただのやらないための言い訳です。
自社の技術アピールのために他社の「製品」を利用しても許されますよね(笑)
最初は、1つの製品のみを取り扱うだけの浅いつきあいの商社かも知れませんが、それを無視していたら代理店どころではありません。根気強くそれらの商社とお付き合いしていれば、きっとその中から最高の代理店が見つかると思います。
だけど最終的に代理店としてパートナーシップを結べるのって、20-30社の中から1社程度と考えてくださいね!
御社が海外の良い相棒と巡り会えるといいですね!