IHP処理はチタンなど難加工材の切削やプレス加工を可能にする表面処理です

機能性表面処理IHP

弊社のIHP処理が日刊工業新聞の記事に掲載されました。

IHP

チタンなど難加工材を「切削、プレス加工」するための表面処理「IHP」が日刊工業新聞の記事として掲載されました。
IHPは金属表面を高機能化させ、難加工材の加工を可能にする表面処理です。


難加工材料を加工するための表面処理 IHPについて

IHPの効果

一般的な表面処理は、表面に超高硬度の皮膜をコーティングし、耐摩耗性を飛躍的に高めるタイプが主流です。
弊社の「IHP」処理は難加工材を加工することが目的の表面処理です。
IHP処理は金属の表面を高機能化させ、チタンをはじめ、様々な難加工材の切削やプレス加工を可能にします。

 

難加工材は、表面硬度を追求しても加工できません。カジリ、ムシリ、焼き付き、異常摩耗、構成刃先など様々な要素に対して改善する必要があります。
チタンなど難加工材料の「切削、プレス加工」を可能にするIHP処理をどうぞお試しください。


IHP処理の効果

カジリを防止する

チタンなど粘くて、カジリやすい材料を加工するには、加工熱による溶着と酸化チタン皮膜の形成を防ぐ必要があります。
加工熱は金型とワークが境界潤滑状態になり、局部的に接触し発生する摩擦熱が主な原因です。IHP処理は潤滑油の保持性を大幅に向上させ、その効果で強力に流体潤滑を保持しカジリを防止します。

 

焼き付きを防止する

IHP処理を金型に施すことで、潤滑油の極圧特性が向上し、焼き付きを防止する効果があります。
せん断に近い条件での加工時、逃げ場のないディンプル内の潤滑油は高圧になり、逆圧が働き金型と材料の接触を防止します。その作用で極圧下でも流体潤滑を維持し焼き付きを防止します。

 

切削時のカジリ、ムシリを防止する

IHP処理をバイトなど刃具に施すことで、切削油の引き込み改善で切削抵抗が減少し、カジリ、ムシリを防止する効果がります。
マイクロディンプルが切削時に潤滑油を引き込み、切削抵抗が減少します。その効果で加工熱の発生を抑えカジリ、ムシリを防止します。特に超硬工具との相性が良いようです。

 

マイクロクラックの発生を防止

IHP処理金型に施すことで、金型表面の金属組織が微細化し、マイクロクラックの発生を抑制します。
マイクロクラックは金属組織の粒界から成長するため、IHPの鍛造効果で組織を微細化し、クラックの発生起点が減少し発生を抑制します。プレスパンチなどせん断に近い条件の金型に使用すると加工回数が増加します。

 

樹脂、プラスチックなどの付着防止効果

IHP処理を金型に施すことで、温間成形時に金型とワークの付着を抑制します。
用途として、温間プレスの金型、食品生地のローラー、搬送用ステンレスベルトなどで効果を確認していますが、付着防止効果については、まだ分からない部分も多いので、試作により効果を確認いただければと思います。

 

金型表面の焼入れ硬化

IHP処理は鍛造加工の応用技術なので、処理中瞬間的に金型の表面温度が再結晶温度以上になります。
その効果で金型表面にHRC70程度の焼き入れ層が形成されます。この層はメッキとは違い、表面そのものが硬化するため剥がれが発生しません、またIHP処理により流体潤滑を強固に維持され、この焼き入れ層は長期にわたって維持されます。

 

再処理が容易

IHP処理はメッキやコーティングではないため、再処理が容易です。DLCや窒化チタンコーティングは再処理時にリムーブする必要があるため再処理コストは高額になります。
IHP処理は長期間の使用で、浅くなったディンプルの上から直接再処理が可能なので、再処理が容易でコストメリットが高いのが特徴です。

技術解説 IHP処理の油膜の保持性と流体潤滑の維持効果について

ディンプルと油膜保持効果について

流体潤滑とは、金型とワークの間に潤滑油の油膜により直接接触していない理想的な状態
境界潤滑とは、金型とワークの間の潤滑油が、部分的に油膜切れを起こし直接接触している状態

 

チタンなど難加工材料を切削やプレス加工する絶対条件として、流体潤滑を維持し金型とワークを直接接触を防止する必要があります。
一般的な表面処理の「DLCや窒化チタン」などは、強固で耐摩耗性に優れますが、表面が滑らかなため油膜の保持効果がなく、ワイパーのように潤滑油を除去し結果、金型とワークが接触する境界潤滑になり、局部的に高温が発生し「カジリ、焼き付き、異常摩耗」が発生します。
一般的な表面処理は、目的がチタンのような難加工材を加工するための表面処理ではないからです。

 

チタンなど難加工材を「切削、プレス加工」するには流体潤滑が絶対条件で、従来は流体潤滑を維持するため、素材に0.1mm程度の細かいメディアでサンドブラスト処理し、凹凸に油膜を保持させ、流体潤滑を維持させました。しかしコストの問題があり、材料ではなく金型表面に凹凸を形成すると、すぐに凹凸が削れ消失します。サンドブラストの表面は、南アルプスの山肌のように鋭角なギザギザなので、山の頂上が材料と直接接触し凹凸がすぐに削れ使い物になりません。

 

サンドブラストは表面を削って凹凸を形成しますが、IHP処理は鍛造技術を応用して、削らずに鍛造による打痕でゴルフボールのような滑らかなディンプルを成形します。
これにより長期間のディンプルの耐久性と、強固に流体潤滑を維持する効果で、難加工材を加工することが可能になります。


技術解説 IHP処理のマイクロクラック抑制と疲労強度の向上について

マイクロクラック発生の原理

IHP処理の鍛造効果でマイクロクラックの発生を抑制し疲労強度が大幅に向上します。
冷間鍛造金型やプレスパンチなど、単位面積当たりの荷重が大きい加工を、繰り返すことで金型の金属組織の粒界からマイクロクラックが発生します。
マイクロクラックが発生すれば、すぐにクラックが成長して金型の寿命になります。

 

マイクロクラックは金属組織の粒界から発生するため、金属組織が大きいほど、歪みの影響を受け発生しやすくなります
マイクロクラックを防ぐには、金属の組織を微細化させ、マイクロクラックが発生する起点をなくすことが効果的です。IHP処理の鍛造効果で、処理を施した表面の金属組織が微細化します。それによりマイクロクラックの発生を抑制する効果があります。

 

特に焼き入れ鋼は熱処理によって、金属組織が肥大化しているので効果が大きいです。
またIHP処理の鍛造効果は、アルミなどの合金も表面硬度をあげることができます。


技術解説 IHP処理の表面焼き入れ効果について

表面焼き入れの原理

IHP処理は表面焼き入れ効果で表面硬度が硬化します。
IHP処理は鍛造加工の応用技術で、金型表面を微細鍛造することでディンプルを形成します。
その際に高比重の粉体を高速衝突させることで、瞬間的に再結晶温度以上の熱が発生し、表面は焼き入れ硬化します。
硬度は一般的なベアリング鋼がHRC60前後に対して、HRC70程度になります。DLCや窒化チタンと比べて低硬度と思うかもしれませんが、目的が違うためこれで十分なのです。
境界潤滑時の耐久性を最大限にしたDLCや窒化チタンなら硬度は重要ですが、IHP処理の効果で境界潤滑を防止できるため、HRC70程度で長期にわたって効果が持続します。


技術解説 IHP処理の流体潤滑と摩擦係数の低減効果について

摩擦係数低減効果について

IHP処理は金型とワークの摩擦係数を減少させる効果があります。
摩擦係数の減少は、IHP処理により完全な流体潤滑状態になっている証明です。流体潤滑ではワークと金型が接触していないため、加工熱の発生を抑制し「焼き付き及び摩耗」を防止します。

 

加工熱を抑えることは難加工材の加工には重要で、チタンなど加工する際に300℃程度で硬くて脆い「酸化チタン皮膜」の形成が形成されます。酸化チタン皮膜を発生させてしまうと、それ以上の加工は困難になり、表面は荒れてしまいます。流体潤滑を維持することで加工熱の発生を抑制することで加工が可能になります。また加工スピードも改善するため生産性が向上します。


技術解説 IHP処理の樹脂及び粘土状物質の付着の防止効果について

付着防止効果について

IHP処理は粘土状の物質に対する「付着の防止効果」があり、樹脂などの温間プレス加工用の金型などに使用されています。

 

 

IHP処理のマイクロディンプルは油膜の保持だけでなく、空気も保持する特性があります。温間プレス加工時にマイクロディンプルに閉じ込められた空気が圧縮され、プレス完了時に膨張しワークを剥がす作用が働きます。またこの空気の層が、金型とワークの接触面積を減少させ、付着を防止する効果があります。
この現象は滑らかなディンプルだから起こる現象で、鏡面では真空になり付着します。

 

現在、食品用の生地を延ばすローラー、ステンレスコンベアーベルトなどで、付着の防止効果が確認できています。まだ効果が分からない部分も多いので、必ず試作によって効果を確認いただく必要があります。


技術解説 IHP処理の再処理について

再処理について

IHP処理は再処理も容易に行えます。
DLCや窒化チタンコーティングなどは、再処理時に古い皮膜を取り除く必要があり、溶液による化学反応やショットピーニング削り取る必要があります。
DLC処理を施した金型で部分剥がれが発生した場合、リムーブすると形状が崩れるため、その金型は再加工しなくてはならなくなります。
IHP処理はメッキやコーティングでないため、再処理が容易に行えます。よって再処理を低コストでおこなえます。また溶液を使用しないので環境負荷も少ないのです。


機能性表面処理IHP記事一覧

現在、金型の表面処理は様々な種類が開発されています。そして費用対効果に優れ「利益を出すには表面処理は不可欠」とまで言われています。加工で利益を出すためには、金型の使用可能回数を増加させ、イニシャルコストを圧縮することが効果的で、表面処理も高硬度の皮膜を表面にコーティングさせることで「摩耗」を防止し金型の耐久性は大幅に向上しました。

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